横浜市医療局 衛生研究所、医療政策課様 導入事例

横浜市の感染症発生状況を可視化し、直感的で分かりやすい情報発信を実現

【Tableauダッシュボード制作・自走支援サービス】

導入事例:横浜市医療局 衛生研究所、医療政策課 様

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横浜市衛生研究所 高井 様、畔上 様、横浜市医療局医療政策課 石渡 様、玉野 様

横浜市医療局 衛生研究所様は、主に保健衛生に関わる試験検査や情報収集・解析・提供などの役割を担っています。その中で、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの発生状況を可視化・情報提供し、健康に関する調査のサポートを行ってきました。今回、医療データ活用を推進する医療政策課様と連携し、これまで以上に直感的で分かりやすい情報発信をするためにTableauダッシュボード制作・自走支援サービスを導入していただきました。 これに伴い、Tableau導入前の課題や導入後の効果、今後の展望についてお話を伺いました。
制作した感染症ダッシュボードはこちら


保健データの解析や健康調査のサポートを通じて、健康づくりに寄与

ーーはじめに横浜市衛生研究所様が取り組まれている分野や畔上様の業務内容について

畔上様:
 衛生研究所全体としては、市民の健康を守り、安全で安心な生活を送ることができるよう、保健衛生に関わる試験検査、情報収集・解析・提供、研修指導を行っています。保健所などの関係機関と連携しながら、感染症発生状況の調査や健康指標の統計処理、食中毒や生活環境水の検査、食品や安全性試験などを行い、市民の皆様の健康を守り支えています。

(1) 試験検査
 感染症や食中毒などの健康危機発生時に、迅速かつ正確に原因究明を行い、保健所が行う行政処分の科学的根拠を提供しています。また、臨床検体、食品、水などの検査や市民からの苦情品の検査も行っています。
(2) 調査研究
 検査法の新規開発・改良や、感染症の原因となる病原体の遺伝子解析など、日常の試験検査業務から派生した技術上の問題や行政課題を解決するための取組みを行っています。
(3) 研修指導
 保健所など、公衆衛生行政に携わる市の職員に対する技術研修を行っています。また、民間検査機関、学生等に対する研修や一般の方々への講演会等も行っています。
(4) 公衆衛生情報等の収集・解析・提供
 感染症をはじめ、健康にかかわる情報を広く集め、高度な分析を行い、わかりやすい情報を市民の皆様や医療機関に提供しています。

畔上様
横浜市衛生研究所 畔上 様

 その中でも私が主に担当している業務は、全国で実施される感染症発生動向調査となり、横浜市内で発生する感染症の報告を集計して公表しています。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの発生状況を、グラフや表にまとめ、主にインターネット経由で情報提供しています。また、統計の手法を用いた保健データの解析や各区の健康に関する調査のサポートを通じて、健康づくりの取り組みに寄与しています。


ーー「Tableauダッシュボード制作・自走支援サービス」導入前に業務上課題となっていたこと

畔上様:
感染症発生動向調査の集計結果の公表については、かなり前から以下のような課題を抱えていました。

① 膨大なデータのわかりやすい見せ方
② ウェブページの掲出位置の不明確さ
③ 膨大なデータで目的の情報への到達が困難
④ データの閲覧にはPDFファイルの開封が必要
⑤ オープンデータ非対応

Tableauの導入前は、何年もこれらの課題を感じており、その都度最新情報を最上段に移動したり、ページ内のグラフや説明文を追加したりするなど、多少なりともアクセシビリティの向上に努めて参りました。


ーーキーウォーカーを選んだ理由

石渡様:
 そんな衛生研究所の抱える課題に対して、医療データの活用を推進している医療政策課として、ITの力で解決できないかと検討していました。そこで、BIツールを活用した直感的で分かりやすい情報発信を行うため、公募型プロポーザル方式にてキーウォーカー様と契約させていただきました。


ダッシュボードの導入により、14疾患の流行状況が一目瞭然に

ーー「 Tableauダッシュボード制作・自走支援サービス 」 を利用した後の効果

畔上様:
 今までは、感染症の発生状況を知りたい市民の問合せに、集計値がメインの情報をご案内していたため、細かい内容をお知らせしていました。また、必要な情報にたどり着くために、掲載箇所を細かくご案内しないとどこに情報が掲載されているか一目ではわかりにくい状態でした。

 今回制作したダッシュボードでは感染症発生動向調査の14疾患を可視化し、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、患者数が増えるとニュースでも取り上げられることのある14疾患の流行状況が一目で分かるようになりました。また、流行レベルゲージを採用し、注意を要する感染症が迅速に確認できるようになりました。

 各疾患の状況についても①地域別の感染状況、②過去の報告数の推移、③年齢層別患者数 が地図やグラフで表示されるようになったので、市民の皆様にも非常にお勧めできるコンテンツが提供できたことを実感しています。付加機能として、疾患別の集計値をダウンロードできるようになったことで、感染症データを活用したいと考える市民のニーズにも対応することができました。

長年悩み続けた「集計した膨大なデータをいかに見やすく提供できるか」という課題が解決でき、市民サービスの向上が図られました。


ーー弊社内でも、このTableauダッシュボードが上がってきた際、横浜市の中で感染状況が直感的で分かりやすいなと思いました。感染者がかなり増えているという情報をニュースで受け取るだけですと、「単に全体的に感染症が増えているんだな」という把握に留まりますが、様々な感染症の流行状況がヒートマップ等で身近な地域の情報としてわかりやすく可視化されていると、やはり自分ごととして感染対策をきちんとしようと感じたりするので、市として取り入れていることは素晴らしいですね。


高井様:
 また、ニュースというと多くの方がイメージされるのはNHKなのではないかと思うのですが、NHKだとどうしても全国の情報になってしまうので、横浜市にポイントを絞った情報をうまく表していただいたと思っております。


各部署からの異なる要求に対して柔軟かつ的確な対応が良かった

ーー「 Tableauダッシュボード制作・自走支援サービス 」 の良いところ

畔上様:
 開発中は、細かい依頼をいくつもする中で、Tableauの仕様で希望通りに組めないものもありましたが、大抵の項目をダッシュボードに組み込んでいただきました。公開日間近になると、変更箇所に対してもよりスピーディに対応していただきました。

 自身で依頼した過去の懸案事項をまとめていただいたり議事録を作成いただいたことが大変役立ち、相談や修正をスムーズに進めることができたので、大変助かりました。進捗管理ができていたことも、安心して開発を進められた要因の一つです。

 相談もとてもしやすく、「ここを変えたいけどどう説明してよいかわからない」、といった抽象的な内容であってもきちんと意図を汲んでいただき、ダッシュボード上に反映されていたので、それをもとに内容を詰めていくことができました。

 色使いのアドバイスもとても役立ちました。色の判別がしにくい方でも閲覧して読み取れるようにすることがテーマの一つとしてあったので、モノトーンでまとめていただいたことであらゆる方に馴染みやすい配色になったのではないかと感じています。

高井様:
 ウェブのデザインについて非常に助かりました。私達はどうしても、あれもこれもと情報を詰め込みがちになって結果的に見にくくなってしまうのですが、出来上がったものは情報が整理されてとても見やすい形になっており感動しました。

石渡様:
 今回の横浜メディカルダッシュボードの構築にあたっては、企画、契約、公開に向けた調整等の段取りを医療政策課が行い、ダッシュボード内容の検討、グラフの見せ方等の具体的な内容を主に衛生研究所が担当しました。市民の皆様にとって分かりやすい内容にする必要がある一方、必要な情報をしっかりと提供できるよう表現やデザインを工夫する必要がある中で、各部署における視点の異なる要求にも、WEB構築業者と積極的に連携して解決するなど、柔軟かつ的確に対応いただきました。

 プロジェクト後半からリリース直前になるにしたがって、公開に向けた庁内調整を経るごとに目まぐるしく機能やデザインの変更が求められました。様々な内部調整はしているものの、役所ということもあり調整に時間がかかる部分も多かったのですが、それでも細かく丁寧に粘り強く対応いただいたというのは、本当に私も感激しました。

石渡様
横浜市医療局医療政策課 石渡 様

提案力・問題発生時の迅速な対応・導入後のアフターフォローを高く評価

ーーキーウォーカーの評価

畔上様:
 ダッシュボードのお話を頂いたとき、デザインのことについてはノーアイデアでしたので、はじめにダッシュボードのデザインを提案頂いて、本当に助かりました。初版のデザインがなければこの話は進められていませんでしたし、自分たちだけではできないところをサポートしていただけたことを非常にありがたく思いました。

 また、データのダウンロード機能が、こちらの都合で開発中盤に追加作業となってしまった中でも迅速にご対応いただき、対応の早さを感じました。

 そして、待望のダッシュボードが完成した時、データ更新などの操作で理解できない箇所が出てきても、動画を用いてきめ細かくレクチャーしていただいたり、操作上の問題がいくつか発生した時もその都度丁寧に伴走いただき解決することができました。

 開発当初から対応もスピーディーで、相談しやすい環境を作っていただいていたので、導入後も大きな心配を感じることもなく、何かあったときに遠慮せず連絡できる環境が、安心のアフターケアにつながっていると思います。

高井様:
 ちなみに、このダッシュボードのWebアクセスのお話となりますが、インフルエンザ注意報が発令された際、健康安全課が記者発表で『感染症ダッシュボードもご覧ください』と案内したのですが、その結果、記者発表直後に多くの方にアクセスいただき、手応えを感じてとても嬉しく思いました。

高井様
横浜市衛生研究所 高井 様

医療データの可視化により横浜市民の行動変容を後押ししたい

ーー今後の展望について

石渡様:
 今回、医療データの可視化により市民の皆様の行動変容を後押しすることを目的に、横浜メディカルダッシュボードを作成しました。

 キーウォーカー様にご支援いただいたおかげで感染症ダッシュボードでは、子育てや介護をしている方や施設等の現場で働く方の予防行動につながるような、一目で市内の感染症の流行状況が分かる表示を実現できていると感じております。

 今年度は、熱中症をテーマとしたコンテンツの開発を引き続きキーウォーカー様にお願いしておりますが、いずれも直感的で分かりやすい情報発信ツールとして、市民の皆様にとってより使いやすいものとなるよう整備・改善を続けていきたいと考えています。


ーーこの度はお時間頂きありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

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